昨今のコロナ禍で在宅勤務(テレワーク)になった方も多いかと思います。
ただ、インフラ面・制度面・人事評価面などで、まだまだテレワークに対応しきれていない企業も多いのではないでしょうか。
その中でも今回は「在宅勤務手当」について、私の見解を述べたいと思います。
在宅勤務手当の実情
私がtwitterでアンケートを取ってみたところ、約8割の方は在宅勤務手当が支給されていないことがわかりました。
また、支給されている方でも、1万円を超えるのはほんの一部のようです。
ITmediaの以下の記事でも
- 毎月手当を支給している企業は2割
- 支給している企業においても、9割は支給額は1万円未満
とほぼ同じ結果でしたので、おおよそ実情はこんな感じなのでしょう。
在宅勤務における社員の負担額
在宅勤務手当の実情はわかりました。
支給していない企業がある時点で問題なのですが、支給額はどれほどが妥当なのでしょうか。
まずは、従来職場に通勤していた社員が在宅勤務をおこなった場合に、社員側に追加で発生する費用を考えてみます。
地域や住宅環境・家族環境によっても異なることから、ここではモデルケースを作って計算しました。
「家事按分」とは、自宅で事業収入を得ている場合に、住居費や光熱費などの一部を合理的な割合で経費として計上する考え方です。
今回のケースでは、給与所得者である会社員は確定申告で費用計上することはできませんが、費用計算のロジックとしては妥当だと考えています。
賃貸と持ち家でそれぞれ住居費は異なるものの、それなりの金額がかかっていることがわかりますね。
少なくとも、1万円以下では到底足りません。
モバイルルータ等を支給して通信費がかからない場合には多少下がりますが、全体に占める割合としては大きくありません。
なお、PCやデスク、椅子などを買いそろえた場合にはイニシャルコストもかかっています。
一時金を支給していない企業の場合には、それも考慮が必要です。
会社が社員にオフィスを借りている
上では自宅での事業収入における家事按分の考え方で、社員の負担している費用について述べました。
ただ、賃貸・持ち家の違いや、同じ持ち家でもローン返済状況などによって変わってくるので、ちょっと微妙な気もします。
他に、在宅勤務手当の妥当な算出根拠はないでしょうか。
ここでは見方を変えて、在宅勤務手当の妥当な金額を算出してみます。
意外と見落としがちな観点ですが、そもそも会社が社員に在宅勤務を命じるということは、「企業が社員の自宅をオフィスとして借りている」ことに他なりません。
これだけではピンとこない方のために、少し詳しく説明します。
多くの会社では情報管理の観点から「個室もしくは一人になれる環境で業務をすること」という規定があるのではないでしょうか。
私の勤務先も多分に漏れず、そういった規定があります。
私は3LDKの持ち家に住んでいますが、在宅勤務時は書斎を1部屋占有し、家族と言えども基本的に立ち入ることは出来ません。
また、オンライン会議中には大きな音を立てること(歌、ダンス等)は遠慮してもらうこともあります。
つまり、私の在宅勤務によって、家族の行動に制限がかけられています。
更に、同居家族の有無に関係なく、在宅勤務によってPCや椅子等の消耗が増えたり、通信費・光熱費がかかります。
これらを踏まえると、会社都合での在宅勤務は「企業が社員の自宅をオフィスとして借りている」と考えるのは至極妥当と言えるでしょう。
それでは、社員一人が業務を行えるオフィスを借りる際の相場はどの程度でしょうか。
地域によって差がありますが、東京都内の例で見てみます。
こちらのレンタルオフィスの最低月額料金は25,000円です。
ただし個室ではなくパーティションで区切られた最低限のパーソナルスペースです。
個室になると最低でも35,000円はかかるみたいですね。
他にも調べましたが、都内では上記のレンタルオフィスはかなり安い方で、平均的な相場は4~8万円といったところでした。
会社都合で在宅勤務を命じているのですから、レンタルオフィスの個室月額料金相当は支給するのが妥当ではないでしょうか。
まとめ
在宅勤務手当の実情を以下2つの観点に照らし合わせてみました
- 在宅勤務によって発生する社員負担費用の観点
- 企業が社員にオフィスを借りる際のレンタル料としての観点
その結果、そもそも手当を支給していない企業は論外として、支給している企業のほとんどで、いずれの観点でも金額が不十分であることがわかりました。
「会社都合で在宅勤務を命じるならば、社員に自宅オフィスの利用料を払え」
というのは至極真っ当な主張なのですが、法的裏付けが無い現状においては経営層からモンスター社員扱いされかねないため、なかなか言い出しづらいというのが実情です。
テレワークに関しての法整備はまだまだ不十分ですので、政治家・官僚の皆様には是非検討いただくとともに、経営者の皆様も社員や家族の負担を十分に考慮し、適切な金額の手当を支給するようお願いします。
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