こんなツイートがバズってました。
今日、4回生に「就活どう?」って聞いたら、「好きでもない人に告白しまくってる気分です」って言ってて、そりゃメンタルおかしくなるよねって思った。
— George (@Love_yellowhat) April 14, 2022
なるほど、そんな心境で就職活動をしている学生がたくさんいるのかと思い、その原因を考えてみたくなりました。
その結果、私の中では大きく分けて二つの原因があるという結論に至りましたので、解決策とともに説明します。
なお本記事は「仕事を好きになれ」「自己分析や業界分析を徹底しろ」などといった、真面目で意識高い系の記事ではありません。むしろ就活は不真面目で意識低めの方が上手くいくと思っているので、そういった目線で書いています。どうぞご安心ください。
エントリーし過ぎない
株式会社ディスコの調査によると、2022卒就活生の2021年4月時点でのエントリー数は平均24.4社だそうです。
受けすぎ!!(ちなみに私は4社でした)
これだけの数受ければ、そりゃ大半は「好きでもない企業」になるでしょう。
加えて、この数だけエントリーシートを書いたり企業や業界について勉強したりするわけですから、どれも中途半端になりがちで、内定にたどり着く確率も下がってしまうはずです。
しかも、10月時点での平均は30.5社。手あたり次第受けた結果どこにも引っかからず、追加でエントリーする学生もそれなりにいるのでしょう。
ではなぜ就活生がこんなに大量の企業を受けるのでしょうか。理由の一つとして、就活ビジネス企業の金儲けのための煽りに乗せられているというのがあるかもしれません。
就活ビジネス企業とは、マ〇ナビとかリク〇ビといった就活サイトを運営している企業です。
就活サイトには学生と学生採用したい企業のマッチングの場を提供するという社会的意義があるので、それ自体は否定しません。
就活サイトがとにかくエントリー数を増やすよう煽るのは、学生がエントリーしたり説明会に参加したりすると、その分企業からお金が入ってくるからです。ただ、この露骨なエントリー煽りは2014年ごろに問題になったこともあり、最近では控え目になってきているようです。
もう一つの理由としては、「みんなそうだから」なのかなと思ってます。特に日本人は、周りと違うことをすることを極度に恐れる傾向にあると聞きます。先輩や同期が20社エントリーしてるから、自分も20社エントリーする。そんなノリの人もいるのかもしれません。
中高生の頃、塾や予備校で言われるがままに、あるいは友達も受けるからと授業を詰め込みすぎて、予習復習が間に合わず全然成績が上がらなかった(むしろ下がった)経験は無いでしょうか。就活サイトや周りに合わせてエントリーしまくって疲弊し、思い通りの結果にならないのと、全く同じ構図です。
塾の場合、顧客はまだ子どもで判断力が弱く、大人の口車に乗せられてしまうのはわからなくもありません。しかし就活生は既に成人していて、思考力や判断力は十分備わっているはずです。
- 自分の可処分時間と1社あたりにかける時間から導かれるエントリー可能数はどの程度か
- そもそもその企業を何故受けるのか、内定が出たら行きたい本当に企業なのか(次章の内容を参照)
を落ち着いてしっかり考え、いたずらにエントリー数だけを増やすのは絶対にやめましょう!
「好きな企業」の定義は広く・緩く考える
こちらが本題です。
「好きな仕事、好きな企業を選びなさい」
これを聞いてどう思いますか。
「んなもん、ねーよ!!!!」
これが私が就活してた時の本心。そして社会人を10年以上やってきた今でも変わりません。だって仕事疲れるじゃん。ダラダラゴロゴロしてたいじゃん。
そして就活名物の自己分析。あれも大っ嫌いでした。だって深堀りしていくと、最終的には
「絶対安泰で、楽して大金を得て、周りからチヤホヤされて、美味しいもの食べたい」
とかに行き着くんですもの。
でも、これはこれで意味がありました。要するにこれは「好きな生き方」の究極の理想形なんです。そこで私が考えたのは、出来るだけ「好きな生き方」が出来る企業を選ぼう、ということでした。
絶対安泰で
→公務員か?でも給料安いのに副業出来ないとか職種によっては居住地制限あったりとか束縛強くてやだ
→公務員よりは稼げて、少なくとも5年先を心配しなくて良さそうな企業にしよう
楽して大金を得て
→無理。なので労力と賃金のバランスがマシだと思える企業にしよう
→得意なこと(大学/大学院での勉強・研究内容、特技、突出したコンピタンス)が活かせそうな職種・企業にしよう
周りからチヤホヤされて
→仕事でチヤホヤされなくても良くない?プライベートが充実して友人や家族から愛されたら幸せじゃん
→激務だったり海外転勤があるような企業は避けよう
美味しいもの食べたい
→社会人になれば金銭的にはある程度自由になる(=金はボトルネックにならない)
→金があっても残業だらけじゃデスクでのコンビニ飯が待っているし、休日寝て終わる
→残業が少なく、休憩がしっかりとれて、有休消化率が高い企業にしよう
上記はだいぶ簡略化してますが、私の就活における好きな生き方のためのチェックポイントです。
このチェックポイントを出来るだけ満たせる企業を選んで就職しました。
長らく社会人をやってきてライフステージも変わったことで、細部や優先順位の変化はあるものの、概ね今も同じチェックポイントを持って生きています。
就活生の皆さんには、ぜひ好きな生き方のためのチェックポイントを持って欲しいです。
そのためには、自己分析を忖度なく掘り下げて、本音を出しきることがポイント。企業向けの綺麗事を並べるのは、ひとまず後回しでいいです。
私は意識低い感じのチェックポイントになりましたが、もちろん仕事を通じて成長できるとかもOKです。ただ、どういう能力を、なぜ成長させたいのか。それによって将来どんな生き方をしたいのか。仕事に閉じず、生き方全体に広げて考えることが大切です。
猫が大好きなのでとにかく猫に囲まれた人生にしたいとかも全然OKです。むしろそういう本音が重要です。この場合、まずは適当な仕事で種銭を稼いで投資で財産築いてFIREして、猫と暮らすのが一番幸せかもしれません。こういう解は、いわゆる普通の「自己分析」「企業選び」ではたどり着けません。
好きな生き方のチェックポイントが決まったら、出来るだけ多くチェックポイントが満たせそうな企業を数社ピックアップします。
自分自身の中で真の志望理由をちゃんと作れる企業に絞ってエントリーするのです。人によっては、業界がバラバラになることもあるでしょう。確固たる真の志望理由があれば、問題ありません。
もちろんエントリーシートや面接では真の志望理由ではなく体裁を取り繕った大人の志望理由を話す必要がありますが、それは社会に出てからも同じですので、そのトレーニングをするつもりで挑めばよいです。営業マンは「僕のボーナス上げるために、この商品買ってください」とは言いませんからね。
企業だって採用活動では本音は隠していますし、気を病む必要はありません。
エントリー数を絞って1社あたりに準備時間をかければ突破率は上がりますし、企業理念とかビジョンとか仕事の内容とかはあまり興味が無くても、「好きな生き方」が出来そうな企業を選んでエントリーしているので、苦ではありません。
真の志望度により濃淡は出るでしょうが、少なくとも冒頭のツイートにあった「好きでもない人に告白しまくってる気分」にはならないでしょう。
好きな企業を好きな仕事ができる企業と狭義で捉えると「そんなものない」という感情を抱いて就活自体が辛くなってしまいますが、好きな生き方が出来る企業と広く緩く捉えることで、割り切って気楽に楽しく就活が出来ます。
さらに言えば、就職後も仕事は嫌なことや辛いことはありますが、「好きな生き方のため」と割り切ることで、ある程度乗り切れるはずです(それでも辛さが勝る時は、改めてチェックポイントを満たしているかを見直してみましょう)。
なお、中には好きな生き方のチェックポイントを満たす企業から内定を得るだけのスキル/スペックが、自分に備わっていないことに気付く方もいるかもしれません。それも一つの学びです。人生は長い。
まずはいずれかのチェックポイントを多少なりとも妥協してファーストキャリアを選びつつ、好きな生き方に近づけるよう、必要なスキル/スペックを身に付けていけばよいのです。その後は、転職するもよし、副業するもよし、起業するもよし。目的(好きな生き方)が決まっていると、努力するモチベーションは続きやすいです。
まとめ
本記事では、就活で身心を消耗しないための心得を2つご紹介しました。中でも大事なのは2つ目に述べた「好きな企業」を「好きな生き方」ベースで考えるということです。
ぶっちゃけ、20年ちょっとしか生きていない学生から見えている企業の仕事なんて、ごくわずかな一面でしかありません。そこを軸に企業を選んでも、思った通りになることは稀です。
でも、価値観や幸せのカタチは、20年も生きれていれば、ある程度固まっているのではないでしょうか。そこから導かれる「好きな生き方」を満たせそうな企業を選ぶことで、就活が苦行ではなくなるはずです。
この記事が、就活中の方やこれから就活に臨む方のお役に立てれば幸いです。
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