新型コロナウィルスの拡散防止という後ろ向きな理由により、私の勤務先も多分に漏れず在宅勤務(テレワーク)に突入して2週間が経過しました。
今まで単発で在宅勤務を行ったことはありましたが、長期間かつ全社的な在宅勤務は初めてだったので、実際に体験してみるといろいろな気づきがありました。
そこで、私自身が感じた在宅勤務のメリットとデメリットを、「プライベート」「仕事」の2つの観点でまとめてみました。
プライベート編
メリット
まずはプライベートにおける在宅勤務のメリットから。
自由時間が増える
圧倒的なメリットは、やはりこれでしょう。
私は自宅から会社までドアtoドアで40分ほどかかるので、通勤にかかっていた往復1時間20分が丸々浮きます。さらに後述する身だしなみにかかる時間や残業がなくなったことも加味すると、毎日の可処分時間は平均3時間程度ほど増えています。
増えた自由時間は、今のところ主に
- 家族と過ごす(子供と遊ぶ)
- 資格試験の勉強をする
- 趣味の時間
に使っています。昼食を家族と食べられるのも嬉しいですね。
身だしなみを整えなくてよい
地味に嬉しいのがこれ。私はもともとスーツを着ることはほとんどないのですが、それでも会社に行くとなれば
- 寝癖を直す
- 髭を剃る
- 着替える
といった最低限の身だしなみは必要になります。これが、在宅勤務であればすべて不要になります。パジャマ・寝癖・無精髭のまま堂々と仕事ができるのです。
朝起きて、朝食を食べ、歯磨きと洗顔を済ませれば、出勤準備完了です。
なお女性の場合は「化粧をしなくてよい」という更に大きなメリットが得られますね。
普段行けないお店に行ける・好きなものを食べられる
勤務先近くのランチ事情には詳しい皆さんも、意外と自宅近辺のランチ事情には疎い、なんてことは無いでしょうか。
あるいは気になっていても、なかなか行けないことも多いはずです。
特に「平日限定ランチ」は、サラリーマンをやっているとなかなか食べられませんが、在宅勤務なら食べられます。
また、会社で仕事をしている日のランチは、匂いの強い料理、特にニンニク料理はどうしても遠慮しがちです。それも在宅勤務ならおかまいなし。好きなものを食べられますし、ランチビールを飲んでも大丈夫です。
他には、夕食を外で食べる際に人気のお店に空いている早い時間から行けるのも嬉しいです。
この記事を書いている今日も、家族で人気の焼肉屋さんに行ってきました。そのお店は土日は17時前から大行列で、平日もだいたい18時を過ぎたころから混み始めます。
仕事を終えて帰ってくるとどんなに急いでも19時近くになってしまうのですが、在宅勤務で17:30上がりにしたので18時前には店に着くことができ、待つことなくゆっくりと焼肉を楽しめました。
通勤電車内で便意に襲われる恐怖からの解放
個人的に1,2位を争う在宅勤務のメリットがこれです。
「家を出たときは平気だったのに…」
「電車に乗ったときは平気だったのに…」
「ああ神様、どうか怒りをお沈めください……!」
通勤電車の中でこのように神に祈りをささげたことが無い、という人の方が少ないのではないでしょうか。
在宅勤務ならば、そんな苦痛ともおさらば出来ます。
デメリット
続いて、プライベートにおける在宅勤務のデメリットです。
収入が減る
これは企業に寄るところが大きいと思いますが、私の勤務先では、在宅勤務時の残業は原則禁止されています。もちろん必要ならば上司の許可を得て残業することも可能ですが、真にやむを得ない場合を除いて行いません。
そのため、残業代が無くなります。私の場合、毎月平均20時間程度の残業をしていたので、これが0になるとなかなかの収入減になります。
しかし、それほど悲観的には考えていません。メリットで述べたとおり、可処分時間が増えた分、生活に余裕が出ているからです。
私は仕事をするのはプライベートの時間を充実させるための財源を得るためだと考えており、あくまで「プライベートの時間の充実」が主です。残業は無ければ無いに越したことはありません。
通勤や残業が減って空いた時間で、ステップアップのための勉強や副業をするのも良いでしょう。
なお、中には残業代ありきで家計を考えている人がいるかもしれませんが、これを機に見直してみるとよいかもしれませんね。
支出が増える
あまり注目されませんが、これは結構大きなデメリット、というか会社や国に何とかしてほしい部分だったりします。
私の勤務先の場合、自宅のPCから自社網にVPNを張り、自社オフィスにあるデスクトップPCにリモートデスクトップ接続して業務を行うのが一般的な在宅勤務の形態です。
この形態の在宅勤務で増える支出(会社に出勤していればかからない支出)を列挙してみました。
- 電気代
- PCの消費電力
- 会社から貸与されたスマートフォンの充電
- 自室の冷暖房
- 自室の照明
- 水道代
- トイレ
- 消耗品
- トイレットペーパー
1日程度なら微々たる金額ですが、これが1週間、1ヵ月と続けばそれなりの金額になります。実費精算は難しいので、「1日1000円」などちょっとした手当てが欲しいですね。
さらに言えば、会社の業務のために自宅のPCやインターネット回線や自宅の部屋を会社に貸与しているわけですから、レンタル料も請求したいくらいです。
このような社員の持ち出し分に対するケアは今は会社の裁量に任されていますが、より在宅勤務が一般的になった暁には、是非法制度で定めるべきだと思います。
運動不足になる
個人的な一番のデメリットはこれです。
マジで歩かなくなります。
私は平日出勤する日はどんなに少ない日でも5000歩以上は歩いていました。
それが、在宅勤務初日。夜スマホの歩数計を見て愕然としました。
489歩
あ、これこのままじゃ死ぬわ。
ということで、2日目以降は昼食を食べた後30分程度のウォーキングが日課になりました。
平日の昼に自宅近辺を散歩するというのは、今までほとんどなかった経験なので、結構楽しいです。
また、夕方も買い物がてらに歩きに出たり、軽いストレッチを行ったりと意識して体を動かすようにしています。
今回の在宅勤務をきっかけにジム通いを始めた同僚もいます。
ということで在宅勤務における運動不足は「意識しなければデメリット」ですが、意識すれば可処分時間の増加も相まって「運動する時間が増えるというメリットがある」と考えられるのではないかと思います。
仕事編
メリット
続いて、仕事における在宅勤務のメリットを述べます。
無駄な業務が減る
ネット上でも多くの方が言及していましたが、まずはこれでしょう。
「在宅勤務で無くなる業務は本質的に不要な業務」と言っても過言ではありません。
私の勤務先でも、
- 電子決裁システムで申請する前に決裁権者に対面で説明しなければならない
- 電子契約システムに請求書を印刷してサインしてスキャンして添付しなければならない
という「電卓を叩きながらExcelを使う」みたいな不毛な業務ルールがたくさんありましたが、今回の在宅勤務によりめでたく消滅しました。
互いに寛容になる
上記の通り無駄な業務が減る一方で、やはり在宅勤務では出来ない or 効率が落ちる業務があります。
しかしながら、全員が在宅勤務になったことで
「出来ないなら仕方ないね」
「期限を延ばして対応しようね」
といったやりとりや、言葉には出さずとも「しょうがないね」という寛容な空気感が湧いてきました。
私は昔から「自分に優しく他人にも優しい」という人が多くいる職場が理想形だと考えていましたので、この風潮はとても良いことだと思います。
デメリット
最後は、仕事における在宅勤務のデメリットです。
打ち合わせの効率が下がる
「日本人は無駄な会議をしすぎ」とよく言われますね。私もそう思います。
ただ、中にはF2Fで打ち合わせをした方が良い場面もあります。
特に、気心知れたチームでのミーティングでそう感じました。
普段から無意識にやっていることとして、
- 相手の表情を見て理解度を測る
- アイコンタクト
- 発言したそうな人がいたら発言させる
- うなずきによる同意/眉をひそめて疑問を呈する
といった非言語コミュニケーションがありますが、これらが在宅勤務時のネットミーティングでは基本的に実施できません。
実際にやってみてわかったのですが、
- 発言が無い人の思いが感じ取れない
- 発言待ちのお見合い状態になる
といったことが多く発生し、気心知れたチームゆえに歯がゆい思いをすることがありました。
また、ホワイトボードを使った議論や付箋を使ったブレインストーミングなども、遠隔ではかなりやりづらいです。
対面での打ち合わせと遜色ないほどの高臨場感・超低遅延のソリューションが出てくれば解決する課題かもしれませんね。
サボりやすくなる
在宅勤務では常に一人の状態のため、どうしてもサボりがちになってしまいます。
ちょくちょくスマホを見たり、コーヒーを飲みながら家の中をうろうろしたり…
この記事のネタも本日の在宅勤務中に考えていたくらいです。
しかし、改めて自分の仕事を振り返ってみると、会社にいるときは終始集中力MAXで仕事をしていたかというと、決してそんなことはありません。
- 同僚と雑談する
- 業務上の調べ物のつもりがついネットサーフィンしている
- コーヒーブレイク
- 作業はしているが頭では別のことを考えている
といった時間が、おそらく勤務時間の半分程度を占めているのではないでしょうか。
以前twitterでこんなアンケートをしてみました。
社会人の方に質問です。一日の勤務時間(残業時間含む)のうち、仕事に集中している時間は何%くらいですか?
— shelfall@FP2級勉強中 (@shelfall) January 16, 2018
半分以上の人は、業務時間の半分くらいしか集中して仕事をしていないという結果でした。
もちろんtwitterアンケートかつ母数が小さいのでこれが社会人の総意だとは言えませんが、
「実際に集中して仕事をしているのは勤務時間の半分程度」
というのは実情からさほど外れていないのではないでしょうか。
となると、在宅勤務における仕事への集中力は会社にいるときとさほど変わらなのではないか、というのが私の結論です。
最後に
いかがでしたでしょうか。
あくまで私個人の主観ではありますが、プライベート・仕事とも、在宅勤務によるメリットがデメリットを大きく上回っているように感じています。
そのため、今回の全国的なムーブメントをきっかけに、在宅勤務中心の社会が実現することに期待しています。
もちろん世の中には在宅勤務が難しい職業も存在します。
しかしながら、在宅勤務可能な人が在宅勤務をすることで電車や道路の混雑が緩和されれば、通勤しなければならない方々が少しでも通勤しやすい環境を作ることにもつながり、結果的に社会全体の幸福度が上がると考えています。
仕事のために生きるのではなく、生きるために仕事をする人が少しでも増えるといいですね。
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