インターネットやSNSの普及により、昔は出会わなかった人や物が出会うことで、それまでは想像だにしなかったようなクレームが付くようになった。
その結果、今まで問題なく使えていた言葉が突然使えなる「言葉狩り」が起こることが増えた。
例えば
- IT用語の「マスタースレーブ方式」は「奴隷差別」を連想させるから使うな
- 同じくIT用語の「ブラックリスト・ホワイトリスト」は人種差別(ブラック→黒人、ホワイト→白人)を連想させるから使うな
など、常人には理解しがたいクレーマーが出てきたのである。
上の例で言えば、現代において奴隷制を採用している国は無いし、下の例でも単なる色としての「ブラック」を「黒人」に紐づける方がおかしい。要するに被害者がいない。
しかし、こういった的外れで非生産的なクレームをつけたがるクレーマーは、他に打ち込めるものや愛する者を持たない人間の成れの果ての姿であり、失うものは何も無いが執着心と時間だけは無駄にあるという、ある意味最も厄介なタイプの種族。
一個人ならまだしも、企業や業界が真っ向から戦うにはコストパフォーマンスが悪すぎるため、面倒ごとを避けるべく、言い分を飲んでしまうことも多い。
実際、今後は「マスタースレーブ」や「ブラックリスト/ホワイトリスト」の使用を避けるという企業の話も聞いたことがある。
結果としてクレーマーは勝利体験を得てしまい、人肉の味を覚えたクマの如く次の獲物を狙うようになる。今後もこの流れは続くだろう。
ということで、近い未来に言葉狩りにあってNGワードになりそうな単語を、独断と偏見で選んでみた。
※以下は全て私個人による予想であり、差別用語だと糾弾する意図も、他者を差別する意図もありません。
ジェンダー関連
嫁
「女は家にいるもの」という古い価値観で男女差別。というかこれは実際過去にあたおk…いや意識高い系の人から言われたことがある。
男女
男が女より前に出ているのは男尊女卑だから男女差別。
夫婦、夫妻
夫が妻より前に出ているのは男尊女卑だから男女差別。
OL(Office Lady)
OG(Office gentleman)とは言わないことから、職場に女性がいることを特別視することで女性の社会進出を阻害するので男女差別。
ワーキングマザー、ワーママ
上に同じ。「リケジョ(理系女子)」にイチャモンが付いているのを見たことがあるので、同じ流れで「ワーママ」も女性蔑視扱い。
処女作、処女航海ほか
初めてを意味する際に「処女」を付けるのは女性蔑視。
正常位
男性が女性の上に乗り、主導権を握る体位を「正常」と呼ぶのは男尊女卑で女性蔑視で男女差別。
騎乗位
女性を人間(騎手)、男性を馬に見立てており男性差別。
NL(ノーマルラブ)
同人界隈でBL(ボイーズラブ、男性同士の恋愛)の対義語として異性間の恋愛をさす言葉だが、異性間が普通(ノーマル)であるという意識が性的マイノリティ差別を助長するため差別認定。
カマを掘る(掘られる)
自動車の追突事故を意味するスラングだが、男性間の性交が語源で「カマ」はゲイを意味する「オカマ」に由来しており、性的マイノリティ差別を助長するため。
おかあさんといっしょ(番組名)
「おとうさんといっしょ」もあるでしょ、と思った方は暇人クレーマーを甘く見ている。「両親がいない子どもへの配慮が足りない」「ウチは祖母が育てている」というクレームが来て「どうきょしんぞくといっしょ」に変更。すると「親族がいない子はどうなる」「養護施設の子どもを排除するのか」などクレーマーがヒートアップ。結局「きんきょりにいるせいじんといっしょ」に変更。
人種関連
白黒つける
白人・黒人をイメージさせる。白をポジティブ、黒をネガティブな意味で使うのは人種差別。
白星・黒星
上に同じ
ホワイト企業・ブラック企業
上に同じ
潔白
「白」を罪がないという意味で使うのは、過去の白人による人種差別を肯定することになるため。
オセロ、チェス、囲碁
白と黒で戦うのは人種間の争いを連想させるため。肌の色にない赤と青などに置き換えられていく。
黄猿(ワンピースの登場キャラクター)
黄色人種を猿扱いする「イエローモンキー」を連想させるため人種差別。何か理由をつけて登場しなくなる。
黒板
黒板に白いチョークで文字を書く様が、黒人の白塗りを連想させるため人種差別。実際の色に合わせて「緑板(green board)」と言い換える。
職業関連
正規雇用・非正規雇用
正社員であることが正しい、それ以外は正しくないという印象を与え、非正社員を差別しているため。
正社員
上に同じ
上司・部下
上下関係の意識を必要以上に強め、パワハラを助長する恐れがあるため。
上流・下流(IT業界)
ITシステムの開発工程において、おおよそ要求定義~要件定義~基本設計を上流、詳細設計~コーディング~テストを下流と呼ぶ。これは開発工程を水の流れに見立てたウォーターフォールモデルから来ているため差別の意図は全くないのだが、単に「上」「下」の字面から上下関係をイメージすることや、一般的に上流の方が報酬が高いことが多いことから、職業差別だなんだと騒がれ使用禁止に。
その他
電車や高速道路の上り・下り
東京が上、地方が下という意識を植え付け居住地差別に繋がるため。
上京
上に同じ
貧乳
乳房が小さい女性を意味する言葉だが、「貧しい」というネガティブな単語を含み身体的特徴による差別を助長するため。
後期高齢者
社会保険制度において75歳以上をさす言葉だが、数が多くて煩い団塊の世代が当事者になった途端、「後期」が「最後(最期)」や「死が近いこと」を連想させる・年齢差別だとか言いはじめ、名称を「ボーナスステージ」に変更。
剥げる
チビ・デブ・ブスなどと異なり、つい最近までイジリワードとして許されていた「ハゲ」「剥げる」も、いよいよ毛髪が薄い人に対して使うことは厳しくなってきている。今後はさらに進んで(後退して?)、「塗装が剥げる」と言った同音異義語の「剥げる」もハゲの差別だということで避けられるようになる。あり得ないって?いやいや、既に「片手落ち」が「手が無い身体障碍者差別だ」という意味不明な理由で放送禁止用語になった前例がある。クレーマーをなめてはいけない。
引き籠り
昨今の「不遇は本人ではなく社会が悪い」という風潮がより一層激化し、弱者の味方ぶって貧困ビジネスに勤しむどこかのNPO法人の代表あたりが「本人が引き籠ったのではない、社会が閉じ込めたのだ」と言ったことがきっかけで「引き籠り」が差別用語扱いされ、「閉じ込め」に置き換わる。
どれも割と本気で考えて挙げているため、この中のいくつかは実際に数年以内に、公の場で使うことが出来なくなるかもしれない。
そうならないことを祈るばかりだ。
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